顎関節症の原因は?タイプ別の症状とセルフケアの方法

顎関節症でお悩みですか?口が開けづらい、顎が痛い、音が鳴るなど、様々な症状で日常生活に支障をきたすこともありますよね。この記事では、顎関節症の様々な原因を分かりやすく解説します。噛み合わせや歯ぎしり、ストレス、姿勢など、多岐にわたる原因を知ることで、ご自身の顎関節症の原因が何なのかを理解する手がかりになります。さらに、顎関節症はタイプ別に分けられることをご存知ですか?それぞれのタイプ別の症状や原因、そしてご自宅でできる効果的なセルフケアの方法まで網羅的にご紹介いたします。顎関節症の悩みから解放され、快適な毎日を送るための第一歩を踏み出しましょう。

目次

1. 顎関節症とは?

顎関節症とは、あごの関節や咀嚼筋(そしゃくきん)、周囲の組織に痛みや機能障害が生じる疾患の総称です。口を開け閉めする際に痛みを感じたり、カクカクと音が鳴ったり、口が開きにくくなるといった症状が現れます。これらの症状は、単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。また、症状の程度や持続期間も人によって様々です。顎関節症は、生活の質を低下させる可能性のある疾患であり、適切なケアと治療が必要となる場合があります。

1.1 顎関節症の分類

顎関節症は、その原因や症状、病態に基づいて大きく3つのタイプに分類されます。それぞれ咀嚼筋障害型関節包・靱帯障害型関節円盤障害型と呼ばれます。これらのタイプは、単独で発生することもあれば、組み合わさって発生することもあります。

タイプ主な原因主な症状
咀嚼筋障害型歯ぎしり、食いしばり、精神的ストレスなどあごの筋肉の痛み、こわばり、開口障害など
関節包・靱帯障害型外傷、過度の開口などあごの関節の痛み、腫れ、開口制限など
関節円盤障害型関節円盤のズレや変形などあごの関節の痛み、クリック音、開口障害など

1.2 顎関節症の症状の特徴

顎関節症の症状は、顎関節や咀嚼筋に関連する症状と、顎関節以外の部位に現れる症状に分けられます。

1.2.1 顎関節や咀嚼筋に関連する症状

  • 顎の痛み:口を開け閉めする際や、食事中に痛みを感じることがあります。
  • 関節雑音:口を開け閉めする際に、カクカク、ミシミシ、ジャリジャリといった音が鳴ることがあります。
  • 開口障害:口が大きく開かなくなったり、開ける際に痛みを伴うことがあります。
  • 顎の運動異常:顎がスムーズに動かず、引っかかったり、ずれたりする感じることがあります。
  • 咀嚼筋の痛みやこわばり:顎の周りの筋肉に痛みやこわばりを感じることがあります。

1.2.2 顎関節以外の部位に現れる症状

  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • めまい
  • 肩こり
  • 首の痛み

これらの症状は、顎関節症が原因で引き起こされている場合もありますが、他の疾患が原因である場合もあります。そのため、これらの症状が現れた場合は、自己判断せずに専門家による適切な診断を受けることが重要です。

2. 顎関節症の主な原因

顎関節症の主な原因は多岐に渡り、複雑に絡み合っている場合が多くあります。大きく分けると、噛み合わせの悪さ、歯ぎしりや食いしばり、精神的ストレス、外傷、姿勢の悪さ、関節円盤の異常、全身疾患などが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

2.1 顎関節症の原因1:噛み合わせの悪さ

噛み合わせの悪さは、顎関節に負担をかけ、顎関節症を引き起こす原因の一つです。上下の歯の接触状態が悪いと、顎関節や咀嚼筋に過剰な力が加わり、炎症や痛みを生じやすくなります。具体的には、出っ歯や受け口、歯並びの乱れ、高さが不揃いな詰め物や被せ物などが噛み合わせの悪さに繋がります。

2.2 顎関節症の原因2:歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりも顎関節症の大きな原因です。睡眠中や日中に無意識に行う歯ぎしりや食いしばりは、顎関節に大きな負担をかけ、炎症や痛みを引き起こします。また、歯がすり減ったり、顎の筋肉が肥大したりすることもあります。特に、ストレスを感じている時や集中している時に歯ぎしりや食いしばりをしやすい傾向があります。

2.3 顎関節症の原因3:精神的ストレス

精神的ストレスは、顎関節症の発症や悪化に大きく関わっています。ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れ、筋肉が緊張しやすくなります。この筋肉の緊張が、顎関節への負担を増大させ、顎関節症の症状を誘発したり、悪化させたりするのです。また、ストレスは歯ぎしりや食いしばりを増長させる要因にもなります。

2.4 顎関節症の原因4:外傷

顎への外傷も顎関節症の原因となります。交通事故やスポーツ中の衝突、転倒などで顎に強い衝撃を受けると、顎関節や周辺組織が損傷し、顎関節症を発症することがあります。また、顎を強打した記憶がなくても、小さな外傷の積み重ねが原因となる場合もあります。

2.5 顎関節症の原因5:姿勢の悪さ

姿勢の悪さは、一見顎関節とは関係ないように思えますが、実は顎関節症の原因の一つです。猫背や首が前に出ている姿勢は、頭部の重心が前方に移動し、顎関節に負担がかかりやすくなります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで姿勢が悪くなりがちな方は注意が必要です。

2.6 顎関節症の原因6:関節円盤の異常

顎関節には、下顎頭と側頭骨の間に関節円盤と呼ばれる軟骨組織が存在し、スムーズな顎の動きをサポートしています。この関節円盤の位置がずれたり、変形したりすることで、顎関節症を引き起こすことがあります。関節円盤の異常は、開口時の痛みやクリック音、顎の動きの制限などの症状を引き起こします。

2.7 顎関節症の原因7:全身疾患

リウマチなどの全身疾患が顎関節症の原因となることもあります。リウマチは、関節に炎症を起こす病気で、顎関節にも影響を及ぼすことがあります。その他、変形性関節症なども顎関節症の原因となる可能性があります。

原因詳細
噛み合わせの悪さ出っ歯、受け口、歯並びの乱れ、詰め物・被せ物の高さの不揃いなど
歯ぎしり・食いしばり睡眠中や日中の無意識な動作による顎関節への負担
精神的ストレスストレスによる筋肉の緊張、歯ぎしり・食いしばりの増長
外傷交通事故、スポーツ中の衝突、転倒などによる顎への衝撃
姿勢の悪さ猫背などによる頭部重心の前方移動、顎関節への負担増加
関節円盤の異常関節円盤の位置ずれや変形による顎の動きの制限など
全身疾患リウマチ、変形性関節症などによる顎関節への影響

3. 顎関節症のタイプ別の症状

顎関節症は、その症状や原因によっていくつかのタイプに分けられます。それぞれのタイプの特徴を理解することで、適切なセルフケアや治療につなげることができます。

3.1 顎関節症のタイプ1:咀嚼筋障害型

咀嚼筋障害型は、顎関節症の中でも最も一般的なタイプです。顎の筋肉の痛みやこわばりが主な症状で、口を開けづらい、顎が疲れるといった感覚を覚えます。顎の周りの筋肉、咬筋や側頭筋などに過剰な負担がかかることで発症しやすく、歯ぎしりや食いしばり、精神的なストレスなどが原因として考えられます。

3.1.1 咀嚼筋障害型の症状

  • 顎の痛み
  • 口を開けにくい
  • 顎の疲れ
  • こめかみの痛み
  • 頭痛

3.1.2 咀嚼筋障害型の原因

  • 歯ぎしり
  • 食いしばり
  • 精神的ストレス
  • 噛み合わせの悪さ

3.2 顎関節症のタイプ2:関節包・靱帯障害型

関節包・靱帯障害型は、顎関節を包む関節包や靱帯が炎症を起こしたり、損傷したりすることで起こります。関節部に痛みや違和感を感じ、口を開け閉めする際にクリック音やカクカクとした音が鳴ることがあります。また、顎がスムーズに動かせない、特定の角度で痛みが増すといった症状も現れます。

3.2.1 関節包・靱帯障害型の症状

  • 顎関節の痛み
  • 口の開閉時のクリック音
  • 顎の動きの制限
  • 特定の角度での痛み

3.2.2 関節包・靱帯障害型の原因

  • 外傷
  • 過度の開口
  • 関節の炎症

3.3 顎関節症のタイプ3:関節円盤障害型

関節円盤障害型は、顎関節にある関節円盤の位置がずれたり、変形したりすることで起こります。口を開けるときに顎がカクンと鳴ったり、痛みを伴ったりするのが特徴です。関節円盤のずれが大きい場合、口が開かなくなることもあります。また、顎の動きに合わせて耳の前あたりで音が鳴ることもあります。

関節円盤障害のタイプ症状
復位性関節円盤前方転位口を開けるときにクリック音が鳴り、閉じるときに音が鳴らない。
非復位性関節円盤前方転位口を開けるときにクリック音が鳴らず、口の開閉が制限される。
関節円盤穿孔関節円盤に穴が開き、激しい痛みや炎症を引き起こす。

3.3.1 関節円盤障害型の症状

  • 口の開閉時のクリック音やカクンという音
  • 口が開かない、または開きにくい
  • 顎の痛み
  • 耳鳴り

3.3.2 関節円盤障害型の原因

  • 噛み合わせの悪さ
  • 外傷
  • 歯ぎしり
  • 食いしばり

4. 顎関節症のセルフケアの方法

顎関節症の症状を和らげるためには、セルフケアが重要です。セルフケアを正しく行うことで、顎関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。ただし、セルフケアはあくまで補助的なものであり、症状が重い場合は専門家への相談が必要です。

4.1 顎関節症のセルフケア1:温罨法

温罨法は、顎関節周囲の筋肉を温めることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。蒸しタオルや使い捨てカイロなどを顎関節部に当てて、10~15分程度温めましょう。温度は心地良いと感じる程度に調整してください。低温やけどには注意してください。

4.2 顎関節症のセルフケア2:マッサージ

顎関節周囲の筋肉をマッサージすることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。親指の腹を使って、顎関節の周辺を優しく円を描くようにマッサージしましょう。 あまり強く押しすぎないように注意し、痛みを感じる場合はすぐに中止してください。

4.3 顎関節症のセルフケア3:開口訓練

開口訓練は、顎関節の可動域を広げる効果が期待できます。口をゆっくりと大きく開け、数秒間キープします。これを数回繰り返しましょう。 無理に口を開けすぎると痛みを悪化させる可能性があるので、痛みを感じない範囲で行うことが大切です。

4.4 顎関節症のセルフケア4:姿勢の改善

猫背などの悪い姿勢は、顎関節に負担をかける可能性があります。正しい姿勢を意識することで、顎関節への負担を軽減することができます。 デスクワークをする際は、椅子に深く座り、背筋を伸ばし、顎を引くようにしましょう。また、スマートフォンやパソコンを使用する際は、画面を目の高さに合わせ、長時間同じ姿勢を続けないように注意しましょう。

4.5 顎関節症のセルフケア5:ストレス軽減

ストレスは、顎関節症の悪化要因の一つと考えられています。ストレスを軽減するために、リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむ、十分な睡眠をとる など、自分に合った方法を見つけましょう。 規則正しい生活を心がけることも重要です。

4.6 顎関節症のセルフケア6:食事療法

硬いものや、大きく口を開けて食べる必要があるものは、顎関節に負担をかけます。顎関節症の症状がある時は、うどんやおかゆなど、柔らかい食べ物を中心に摂取するようにしましょう。また、よく噛んで食べることも大切です。一口30回を目安に、左右の歯でバランスよく噛むように心がけてください。

セルフケア方法注意点
温罨法蒸しタオルや使い捨てカイロを顎関節部に10~15分程度当てる低温やけどに注意
マッサージ親指の腹で顎関節周辺を優しくマッサージする強く押しすぎない、痛みを感じたら中止
開口訓練口をゆっくりと大きく開け、数秒間キープする動作を繰り返す無理に口を開けすぎない
姿勢の改善正しい姿勢を意識する長時間同じ姿勢を続けない
ストレス軽減リラックスする時間を作る、趣味を楽しむ、十分な睡眠をとる自分に合った方法を見つける
食事療法柔らかい食べ物を中心に摂取する、よく噛んで食べる左右の歯でバランスよく噛む

これらのセルフケアは、顎関節症の症状緩和に役立ちますが、症状が改善しない場合や悪化する場合は、専門家への相談が必要です。自己判断でケアを続けるのではなく、適切な診断と治療を受けるようにしてください。

5. まとめ

顎関節症は、噛み合わせの悪さや歯ぎしり、ストレス、外傷など様々な原因で引き起こされる、顎関節や咀嚼筋の痛み、違和感、機能障害を伴う疾患です。咀嚼筋障害型、関節包・靱帯障害型、関節円盤障害型といったタイプがあり、それぞれ症状や原因が異なります。セルフケアとしては、マッサージや開口訓練、姿勢の改善、ストレス軽減、食事療法などが有効です。ご自身に合った適切な治療法を見つけることが大切です。困ったことがありましたら当院にご相談ください。

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